2025/7/9

鳥取県の青少年健全育成条例において、「性的ディープフェイク」を規制するルールを制定したというお話の続きですが、新たな事象をルールで表現するって、難しいことなんです。

特に、我々の行為を規制することは、表現の自由を制限することにつながりますので、「ことば選び」にも慎重になります。

条例では、性的ディープフェイクを含め、「児童ポルノ」について、次のように定めています。

9 この章以下において「児童ポルノ等」とは、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいい、生成AIその他の情報処理に関する技術を利用し、青少年の容貌の画像情報を加工して作成した姿態(当該青少年の容貌を忠実に描写したものであると認識できる姿態に限る。)を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録及びその記録媒体を含む。

分解すると、

①「児童ポルノ等」=「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録」

として、国の法律の定義を借用します。

この①に、次の②が含まれるとしています。②が性的ディープフェイクのことです。

②「生成AIその他の情報処理に関する技術を利用し、青少年の容貌の画像情報を加工して作成した姿態(当該青少年の容貌を忠実に描写したものであると認識できる姿態に限る。)を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録及びその記録媒体」

つまり、条例では、性的ディープフェイクは、児童ポルノ法の規制対象ではあるが、条例でもそのことを明確化する(確認する)という形で、ルール設定をしていると考えられます(裏テーマとしては、上乗せでも横出しでも無いということを宣言する意味合いもありそうです。)。

児童ポルノ法の規制対象か否かという政府答弁などを踏まえた規定振りと考えますが、こうしたテクニックを用いて、全国に先駆けた規制にチャレンジする、鳥取県の政策法務力の高さを窺い知ることができるように思われます。

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