プロフィール

『政策法務ブログ』を運営する「室長(弁護士 山下 瞬)」についてご紹介させていただきます。

室長の略歴・プロフィール

本名は山下瞬。島根県松江市出身。

ルールづくり専門の弁護士

本業はルールづくりを専門とする弁護士。これまで20年近くにわたり1,000件以上の立案に関与。元自治体職員。

これまで自治体・国・公益団体における多数のプロジェクトでルールづくりを担当。
・全国初の手話言語条例制定や被災自治体での復興支援条例制定など自治体のプロジェクト
・政府の推進する電力システム改革に関するルール策定などのプロジェクト
・会計不祥事からの信頼回復のためのルール全般見直しなど公益団体のプロジェクト など。

2023年6月より第二東京弁護士会調査室嘱託として弁護士会のルールづくりにも関与。

法教育への取組

東京大学法科大学院修了(森・濱田松本法律事務所奨学生)。司法修習第67期(松江修習)。

ロースクールでは法教育のサークルに所属し、島根県立松江南高校(母校)および鳥取県立米子東高校で出前授業を実施(当該サークルの取組は東京大学総長賞を受賞)。

法教育とは法律専門家でない一般市民に法の基本となる価値(正義・公平など)や法的な考え方を理解してもらう取組。
自身も非法学部で社会人になってから法律の重要性を感じ法律家となった。

そのため、かつての自分のように法律に苦手意識をもっていたり、敬遠している人こそ、法律の世界に触れて欲しいと願い法教育の取組を継続中。

MBAでの学び

筑波大学MBA(経営学修士)修了。2023年3月筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院長賞受賞。

ルールづくりの幅を広げるため、MBA(経営学修士課程)でマーケティングデータサイエンスプログラミング(R, Python)などを学んだ。ゼミは環境マーケティング。

日本マーケティング学会会員。日本CSR推進協会(環境法専門委員会)会員。

コロナ禍でほとんどの講義がオンラインで行われたが、法律で凝り固まっていた頭に新鮮で、新たな視座を得た。

権利擁護活動

新卒で障がい福祉課に配属され福祉の世界に触れて以来、ライフワークとして権利擁護活動に取り組んでいる。

自治体職員時代は、全国初の手話言語条例の制定や3障がい手帳統合プロジェクト(全国知事会先進政策バンク登録)などを担当。

第二東京弁護士会高齢者・障がい者総合支援センター運営委員会権利擁護部会委員。

2023年2月に茨城県つくば市で「(通称)つくば市障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進条例」制定に向けた市民団体向けのルールづくりの講演会を実施。

この講演会を契機に、社会を変え、より善く生きようとする人たちにルール作りの基本を伝える必要性を感じていたところ、尊敬する先輩弁護士のススメもあって、本ブログをスタートさせる。

室長からのメッセージ

ルールづくりとの出会いと挫折

政策法務ブログ管理人の室長と申します。はじめまして。

わたしはルール作りを専門とする弁護士です。ただ、当初は弁護士になることはもちろん、ルールづくりを仕事にするなど夢にも思ってもいませんでした。

わたしは新卒で自治体職員として働きはじめ、仕事をしていく中で、あらゆる物事がルールにもとづいて動いていることを身をもって知りました。

そのきっかけとなったのが自治体に入って2年目のときに任されたプロジェクトです。
そのプロジェクトは、障がい者の心理的負担を減らすことで、障がい者手帳の利用を促進するために、3つの障がい者手帳の外観を統合するというものでした(自治体の身体障害者手帳、療育手帳及び精神障害者保健福祉手帳は別の色)。

もちろん、ルールを作るのははじめてです。どのようにしてルールをつくるのか。何から手を付けてよいのかさえわからない状態でした。
ルールづくりに関する本も片っ端から読みましたが、辞書のような厚さに圧倒されすぐにギブアップ。
連日深夜まで残業するものの、何も進まず途方にくれていました。

焦りばかりが募る中で、見かねた先輩が手を差しのべてくれたのです。
結局、ルール作りの経験豊富な先輩の助力もあってプロジェクトは実現し、住民の方にも大変感謝していただきました。

ただ一方で「法律をきちんとと学びたい」という思いが募っていきました。

その後、一念発起してロースクールに進学し、司法試験に合格。
合格したときは、漠然とこれからは裁判などを担当していくのだろうと考えていました。

善く生きるためのルール

ところが、職場に復帰して担当したのが、全国で初めて手話を言語として認めるルール(手話言語条例)をつくるというプロジェクトでした。
今度は現場サイドではなくルールをチェックする側としての仕事でした。

大きなプロジェクトではありましたが、「またルールづくりの仕事か!」というのが正直な想いでした。

ルールづくりの担当として、耳の不自由なろうあ者の団体が主催する大会などに参加し、かつては学校で手話の使用を禁止されたことなどのつらい体験談などを伺うなど、次第に自分ごととしてもルールの必要性を感じるようになりました。

彼らは、つらい体験などを乗り越えて、ルールをつくることを通じて、社会を変えよう、そして社会を変えることでより善く生きることを望んでいました。

全国初の手話言語条例は、2013年10月8日に全会一致で可決・成立します。
現在では全国36都道府県・19区・341市・95町・5村の計496自治体が同様の条例を制定しています(2023年6月30日現在 一般社団法人全日本ろうあ連盟調べ)。

彼らは善く生きるためにルールを作り、社会を変えたのです。

『ハーバード白熱教室』で有名なマイケル・サンデル教授は、人工知能(AI)の発展がわれわれに投げかける問題について「技術は善く生きるための道具だ」と語っています(日本経済新聞 2023年6月30日朝刊)。

ルールにもおなじことが言えるのではないでしょうか。
われわれはルールと聞くと、学生時代の校則などを思い出しては、「守らされるもの、堅苦しい、窮屈なもの」だと思い込んでいませんか?もちろんそのような一面もあります。

でも、ルールの積極的な側面、すなわち、社会を善くするため、あるいは善く生きるために、ルールを道具として主体的に使っていくという視点がこれからはより大切になってくるのではないでしょうか。

この「ルールを道具としてつかう」という発想は、地方分権改革の文脈で語られてきた「政策(目的)を達成するためにルール(道具)を使う」という『政策法務』という考え方と一致します。

だからこそ、わたしは『政策法務』という考え方を、自治体のルールづくりに携わる一部の人だけでなく、より広く、現場の自治体職員、市民に寄り添い活動する議員、そして何より善く生きたいと願う市民の間に広げていきたいと考えています。

もっとも、少子高齢化に伴う人口減少による地方の活力低下や中央集権的な揺り戻しもあって、『政策法務』というワードも以前ほど語られなくなった気がしています。

ただ、このような状況だからこそ、『政策法務』に熱い想いを抱いて取り組む、市民、自治体職員および議員がその想いを共有し、一丸となって『政策法務』の考え方を実現できるチャンスでもあるといえます。

もちろん、何ごともそうですが『政策法務』を実践するためには、最低限の知識が必要です。
とはいえ、民法や刑法など専門的な法律を学ぶよりずっと必要量は少なく、何より「ものづくり」にも通じるおもしろさがあります。

また、『政策法務』の基本的知識があれば契約書などを正確に読みこなせるようにもなりますし、自分で条文をつくることさえできるようになります。

ただし、このブログを読んでも、副業収入が増える知識などは全くもって身に付かないことは保証します(笑)

それでも、このブログを読んでくれた方に、ルールを武器として善く生きるためのヒントが少しでも得られるように努めます。

このブログを通じて、ルールを道具(武器)として使いこなし、善く生きようとする人が一人でも増えることを願っています。

「ルールは善く生きるための道具だ」

2023年7月12日

室長こと、弁護士 山下 瞬