2025/1/8

令和7年度の与党税制改正大綱におけるiDeCoの退職所得控除のルール変更が「改悪」だと話題になっています(産経新聞12月26日付け電子版「税制改正で「イデコ改悪」と不満広がる65歳で受けられた税優遇が70歳に引き上げ」)。

簡単に言うと、これまでiDeCoの運用資金を一時金として受け取り、5年間を空けて退職金を受け取ると、退職所得控除というものがフルで使えるというものが、10年間空けなければならなりそうだ、ということです。

モデルケースで、60歳一時金受け取りなら、これまで65歳で退職金受け取ることで退職所得控除フル活用できるというパターンが、70歳まで働かなければ退職所得控除をフル活用できないということになります。
そうなると、70歳まで働ける企業がそうそう無いことから、控除金額が減少し、課税額が増える結果となります。

確かに、退職金を先に受け取る場合は、再度控除をフル活用するためには、20年以上期間を空ける必要があったので、制度上のアンバランスはあったかも知れません。

ただ、記事によれば、財務省は「現状、大企業の約8割が定年を64歳以下に設定して退職金を支給しており、今回のルール変更で大多数の人は影響を受けない」と説明しているようです。

本当にそうなのでしょうか?
多くの方は、iDeCoの受け取りまでの戦略を必死にシミュレーションして、最近になって制度を利用し始めたはずです。
果たして、60歳まで引き出すことできないiDeCoにおいて、現時点の状況が将来の影響に対する説明となるのでしょうか。

ルール変更など政府の動きまでをシミュレーションして、資産形成することは難しいです。
それなら、「よりシンプルなNISAでいい。」という動きになるのかも知れません。もっとも、NISA自体もルール変更が無いわけではないというのも怖いところです。

今回のルール変更によって、国民の投資マインドにどのような影響があるのかはもちろん、国民に納得のいくルール変更の在り方について、考えさせられる事例ではあります。

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